【コラム】夜になるたびに上がる子供の熱、小児科にかかるタイミングは?
2018.4.6
子供の突然の発熱は親御さんを不安にさせる症状の代表例です。子供はまだまだ大人に比べて免疫が強くないのでよく風邪をひきます。保育園や幼稚園、小学校の集団生活が始まると、治りかけてはまた新しい風邪をもらってきて冬の間いつも鼻を垂らしている子供も見かけます。
ですが、多くの場合、熱や鼻水は身体がばい菌と戦うために必要な大事な免疫反応です。子供の熱は上がりやすく、熱が高いからといって必ずしも重症だとは限らないものです。子供の発熱の特徴を簡単に紹介しておきましょう。
◆長引く症状、熱型表で体温を記録しましょう
朝は元気だったのに夕方になると突然熱が上がって驚いたり、朝は熱が下がっていたから幼稚園に連れて行ったのに昼過ぎに熱が上がって呼び出しを受けたりといった経験がある方も少なくないかもしれません。一般的に、体温は朝方が一番低く、午後から夕方にかけて高くなりやすい傾向があります。これは平熱でも同じです。ですから、翌朝熱が下がったとしても病気が治ったわけではないのです。
治ったかどうかを判断するためには発熱の経過を見ます。普通の風邪ならば発熱のピークを迎えたあと次第に下がり、1回前後で解熱します。子供の熱は大人よりも上がりやすいので、高熱でも重症だとは限りません。ちなみに感染症法という法律では37.5度以上を発熱、38度以上を高熱としています。
一方、発熱が2日以上続く場合(生後5ヶ月未満は1日以上)は少し心配です。昼間には下がっていても夕方になるとまた上がってくるようならもう一度小児科を受診してください。
このように、子供が発熱したときには経過を観察することがとても大切です。日々の熱の変化を言葉で説明するのは大変ですが、『熱型表』というものを使えば一目で経過が把握できます。お医者さんが病状を判断するときにとても参考になるものですから、朝昼晩の3回体温を測って記録するようにしてください。
◆熱は悪者?解熱剤を使うときの注意
上がったり下がったり、親御さんの気を揉ませてしまう発熱ですが、熱自体は身体がばい菌と戦うために必要な免疫反応です。熱が上がればばい菌は住み心地が悪くなって勢いが弱くなりますし、高い体温は身体の免疫もサポートしてくれます。風邪の発熱は、子供の身体が病気を抑えるための力なのです。
ですから、ちょっと熱が上がると何とか熱を下げなければとすぐに解熱剤を使いたがる方もいらっしゃいますが、体温が高くても高熱で苦しんでいるとき以外には解熱剤の必要はありません。必要がないのに無理に熱を下げると免疫の働きを邪魔してしまうかもしれません。解熱剤は必ずつらい間だけ使うようにしましょう。解熱剤の処方箋には頓服薬と書いてありますが、これは症状がひどいときだけ使うお薬という意味です。また、3ヶ月未満の子供は体温を下げすぎてしまうおそれもあるため使わないということにも気をつけてください。その際は、医師にご相談の上、指示通りに使いましょう。
◆熱が高いと頭がおかしくなる、は間違い
解熱剤をむやみに使おうとする方の中には、高熱が続くと頭に障害が残ってしまうと考えている方もいるようです。
急に高熱を出すと、『熱性けいれん』というけいれんを起こすことがあります。これは生後半年くらいから5、6歳くらいまでの小さな子供起こる熱が原因のけいれんです。突然意識がなくなり手足をピンと突っ張ります。けいれんの持続時間は大半が10分以内です。来院時には止まっていることがほとんどです。
『熱性けいれん』になると親御さんは大変驚いてしまうかもしれませんが、5、6歳くらいまでの子供の15人に1人くらいの割合で起こる比較的ありふれたもので、特に脳に障害を与えるものではありません。急に熱が上がったことで脳が興奮して起こるようです。その際は頭部を冷やしてご来院ください。
子供の熱は稀に40度を超えることもありますが、高熱が脳や内臓に障害を与えてしまうことはありません。危ないのは合併症がある場合です。40度台の熱は脳炎の直接の原因ではありません。
ですから、体温計が示す温度の高さだけに気を取られるのではなく、熱に伴う他の症状を注意深く見てあげてください。上で挙げた『熱けいれん』を含めて意識がもうろうとしている、顔色が悪い、呼吸がおかしい、頻繁に吐くといった熱以外の強い症状があれば心配です。これらの症状が伴うときにはすぐに当院あるいは地域医療連携医を受診しましょう。
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